小川フミオ
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小川 フミオ/OGAWA Fumio
Earshot

「イヤーショット」とは英語で「聞こえる範囲」のこと。取材中に聞いたことで、「これおもしろいね!」という言葉を、自分なりにふくらませてみたのが、このブログ。記事から外れてしまう発言の中にも、現在を的確に批評していたり、未来へと向かうヒントが隠れていたりする。プロフィールは、グルメやクルマを中心に、ライフスタイル全般を手がけるジャーナリスト。


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「お母さんのために」(マルコ・スタービレ料理長)

モダン トスカーナ料理というものがある。フィレンツェの「オーラ ダリア」がそれで、マルコ スタービレ料理長が手がける料理は、トスカーナの伝統料理と、新しい表現方法を組み合わせたもの。新しさが評価されるフランスとまた違い、料理にどちかというと保守的な土地柄にあって、新しい料理を追求しつづけ、ついにミシュランの星を獲得するなど、気を吐くのがスタービレ料理長だ。

スタービレ料理長の料理を、東京駅に隣接した高級ホテル「シャングリ・ラ ホテル東京」のシグネチャーレストラン「ピャチェーレ」で試す機会があった。



とくに印象に残った一品は、「フィレンツェ風 フォアグラのソテー、りんごのキャラメリゼ、ジンジャーとリコリスの香り」なる前菜だ。



「フォアグラはフランスの専売特許のように思われていますが、メディチ家がフランスに持っていったもので、もとはトスカーナの料理でもあります。その起源を意識して、今回はニワトリのフォアグラを使い、さらに独特の苦みをあえて強調するために、ビターチョコレートでコーティングした上に、さらに苦みを特徴とする香草リコリスを載せました」

マルコ スタービレ料理長は、この料理の特徴をそう解説してくれた。ていねいに裏ごしされたフォアグラは脂っこさがなく、香りも品のいいもの。チョコレートは逆にフォアグラの持つ甘みを引き出し、付けあわせのパン ブリオッシュ、それにキャラメリゼしたリンゴとよく合う。



小鳩の入ったトルテリーニも、ドンブ産鳩のこってり感がうまく活かされ、印象に残る出来だった。ポーションは上品で、現地のように、これでもかというぐらい量が出てくることもない。

ホテルを代表するシグネチャーレストランというと、たいていフランス料理か日本料理だが、そこにあえて「ピャチェーレ」というイタリア料理レストランを設定するという、いわば逆張りをした「シャングリ・ラ東京」。このディナーはワインとのマッチングをうまくやれば、強く印象に残るものになるだろう。

おもしろかったのは、デザートとして「チェリーとイタリアンメレンゲのトルタ」が出たとき。料理の説明にきたスタービレ料理長は、「チェリーの大きな産地である村出身の母がよくこういうデザートを作ってくれました。それを思い出して、作りました。これは母のための一品です」と語った。



やわらかいイタリアふうメレンゲと、適度な酸味のチェリーにクリームソースが印象的なデザートは美味だが、臆面もなく「母のために」と言う姿はほほえましいものだった。そういえば、イタリア人料理人は、ほぼ例外なく、好きな料理は?と訊かれると、「マンマ(母親)の料理」と答えるぐらいだから。

マルコ スタービレ料理長と、「ピャチェーレ」のパオロ ペルシ料理長とが共同してコースを作りあげる、この料理イベントは「コラボレーションwithシェフ、マルコ スタービレ」と題された。東京駅に隣接した高級ホテル「シャングリ・ラ ホテル東京」(Tel 03-6739-7888)で、7月30日から8月5日(日)まで開催される。



ランチ4品構成で5700円(+サービス料)~。ディナーは、「マルコ スタービレ コース」(5品/15,000円+サービス料)と「コレボレーション ディナーコース」(7品20,000円+税)で構成される。なお、8月3日にはトスカーナワインが料理に合わせてサーブされる「ガラ ディナー」(25,000円+税)も。


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